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1975年生まれ。99年 横浜国立大学経営学部を卒業後、富士通に入社。エンジニアとしてERP製品の開発に携わった。2005年 富士通の企業派遣制度で慶應義塾大学大学院 経営管理研究科へ留学し、MBAを取得。
2008年 第一子出産。13年11月 自身の課題である共働き家庭における「新しいライフスタイル」の実現に必要な社会インフラを「IT」で作るため、起業。ITを軸とした新サービス『タスカジ』の立ち上げを行っている。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018「働き方改革サポート賞」受賞

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  • 印居

    今回は、事業を通じて女性が社会で活躍するためのサポートを行っている株式会社タスカジの和田社長にお越しいただきました。和田社長はご自身もお子様を育てながら働いていらっしゃいます。女性の働き方とこれからの社会について、ぜひ考えをお聞かせください。

  • 和田

    よろしくお願いします。

  • 印居

    最近は、「性別を問わず能力のある方に働いてほしい」という経営者が増えているように感じます。経営者の意識が変わってきた証拠かもしれません。

  • 和田

    働く女性の意識も変わってきたようです。私たちの世代にとって、人生は今よりも画一的で、「30歳までに結婚」と当たり前に語られていました。今は、結婚・出産のタイミングや仕事のステップアップの方法も多様です。その中で、自分なりの選択ができるようになってきた。若い世代のパワーを感じています。

  • 印居

    女性は男性と比べると、どうしてもライフステージが変化しやすいですよね。弊社では、結婚・出産・育児・介護など起こり得るライフステージの変化を想定して、女性目線で会社の仕組みを整えて行きたいと考えています。

  • 和田

    たしかに女性は、ライフステージの変化に影響を受けやすいと思います。だから、結婚する前から出産後の働き方を心配するなど、一般的に男性よりも、変化に対してナイーブになる方が多い気がします。だけど、結婚すると自分だけの時間が減るのは、基本的に男性も女性も同じですよね。私の場合は、出産後も同じように働きたかったので、当時勤めていた会社にフルタイムで復帰し、家事・育児は夫と分担しました。当初は、二人で分担していても家事が負担になりがちでしたが、今はベビーシッターや家事代行サービス、保育園やファミリーサポートなど家庭外の支援の種類が増えています。家庭の内外で、様々なパートナーシップを築いた結果、家事などの負担がぐっと減りました。必要に応じて、支援を受けやすい時代になったと思います。私はフルタイムで働くことを選びましたが、仕事とプライベートのベストバランスは、人によって違いますよね。中には、「もっと子どもとの時間が欲しいのに」とモヤモヤした思いを抱えている方がいるかもしれません。まずは、それぞれが自分のスタンスをしっかり見極められるようになってほしいです。

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  • 印居

    実は私は、子育てを妻に任せきりでした。妻の具合が悪くても会社に行って当たり前という、“昭和的な会社員”だったんです。ただ、2人目が産まれた後、妻が限界を迎えてしまって……。そこでやっと「任せきりではいけない」と気づきました。その時に、「時間を自分でコントロールできる仕事がしたい」と考えたことが、その後起業するきっかけの一つになっています。

  • 和田

    会社の制度を整える上でも、その時の経験が活きそうですね。

  • 印居

    そうなんです。これは女性だけに限った話ではありませんが、社員には、自分の時間をすべて自由に使えるうちに、できるだけ仕事を頑張るよう伝えています。それは、将来ライフステージが変わった時、会社に勤めなくても働くことができるように、アイデンティティ(自分が自信を持てるもの、特技、専門的スキルなど)を確立するためです。終身雇用という考えは持たず、会社に依存しない働き方、自分らしいスタンスを探してほしいですね。

  • 和田

    私も、「自立しながら所属できる会社」が理想です。だけど、マネジメントする側としては正直、バランスが難しそうですね。

  • 印居

    成長した社員が退社していくことは、自然な流れです。それよりも、雇用関係がなくなった後、パートナーとしてお付き合いできるかどうかを重要視しています。元社員には、新天地でも生きがいを持って働いてほしい。彼らが活躍することが私の誇りで、会社のブランディングにもつながると考えています。

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  • 印居

    働く女性の立場から、男性と女性の考え方の違いなどは感じますか?

  • 和田

    もちろん、育ってきた環境やこれまでに与えられた価値観によって、考え方にも違いが生まれます。だけど、敢えて男性と女性を分けずに考えることで、あるべき形や解決策が見えてくるのではないでしょうか。簡単に言うと、「ゼロベースで考える」ということでしょうか。「男性だから」「女性だから」という思考を外した上で考えを積み上げていく。これが意外と難しくて、私も気づかないうちに「従来の女性の役割」を背負ってしまわないよう、家庭でも意識しています。

  • 印居

    実は、我が家はまさに「ゼロベース家庭」です。たとえば「食事の用意は女性の役割」という固定概念を持たないことは、男性が女性に依存しないことにつながりますよね。先程お話しした、弊社の「会社に依存しない」という発想は、私たち夫婦の考えが原点になっています。

  • 和田

    そうだったのですね。パートナー選びにもぜひ「ゼロベース」を取り入れてほしいです。人生において、身近な友人やパートナーのサポートはとても大切です。女性の場合、「相手のことをサポートすること」ばかり考える方が多いようですが、「自分がサポートしてもらえるかどうか」も考えてほしいんです。社会で活躍する時、対等にサポートし合える存在が力になるはず。もちろん、サポートと依存は違うというのが大前提ですが。

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  • 印居

    固定概念をなくし、ゼロベースで考えられるように、男性も変わらないといけませんよね。

  • 和田

    たしかに、「家事や育児は女性の仕事」という固定概念が女性のチャレンジを阻んでいるように思います。ただ、マインドについては、徐々に変わってきているように感じるので、あとは社会構造の問題が大きいと思うんです。マインドだけ変わっても、社会の構造から変えていかないとなかなか難しいですから。

  • 印居

    男性が家事や育児に参加できるようになるための仕組みが必要、ということでしょうか。

  • 和田

    その通りです。弊社のサービスは、「家事シェア」をベースに、女性が主となっている家事の担い手を他者に任せるというものです。このサービスが社会を変える一端になれば。様々な業界の企業やサービス提供者、加えて国も男性が子育てに参加しやすいよう構造を変える必要があると思っています。

  • 印居

    そうですね。弊社が関わっているIT分野も、その構造作りにおいて重要な要素になりそうです。

  • 和田

    ゼロベースで考えることが社会に広がれば、サービスや法律、制度といった、社会構造を変えるギアとなる要素も充実するはずです。ギアを設計するのはあくまでも私たち人間ですからね。

  • 印居

    弊社も、御社のような自社サービスを構えた上で、社員がフレキシブルに働けるような仕組みを作っていきます。
    今日はありがとうございました。

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長い年月をかけて構築された社会構造は、時流よる変化を求められても簡単に変わらないし、変えられないものだと思います。
社会構造が簡単に変えられないのであれば、個人の思考から変えてみるという発想の転換が和田社長と共感できた『ゼロベース』の考え方だと感じました。

この記事をお読みいただいた方々には、個人が変化に適応すべき対象は、社会構造や組織ルールではなく、時代の流れではないだろうかと考えてみるきっかけになれば嬉しいです。

内閣府 男女共同参画白書(平成29年版)の第一子出産前後に就業を継続する調査によると、2010~2014年調査分では育児休業を取得して就業継続した有職者の女性割合は、年々増加傾向にあるもののまだ28.3%です。
逆に、出産時に退職した女性割合は33.9%。妊娠から無職だった女性割合の23.6%を加えると57.5%の女性が無職状態にあったことを数字が示しています。確率の低い復職に頭を悩ませるより、自分の可能性を広げるスキルアップや働き方に目を向けた方が結果的に働く幸福感や充実感を得られるのではないかと感じます。
まだ少数派かもしれませんが、時代の変化にいち早く対応し、テレワークなどの働き方改革手段を積極的に取り入れている企業が存在するのも事実です。

今後、変化に敏感な会社と多様な働き方を望む女性を正当にマッチングされる仕組みが浸透されると、社会構造の変化が一気に加速する期待感が沸いてきます。
個人から始まる小さな変化の集合体が社会の大きな変化を生み出す原動力になることを信じています。
最後に、今回の対談を快諾していただいた和田社長に厚く御礼申し上げます。